世の中のすべてのものに陰と陽があります。私たちはそのバランスをとり、中庸でいなければいけないのです。そして、食べている食材も陰と陽のバランスを考えてください。
全体を食べる意識
ニンジンの葉っぱと根っこの部分に分かれています。普通ニンジンを食べる時には根っこしか食べていません。根っこだけではその植物の一部分しか食べていないことになります。
葉っぱと根っこが生命を維持するためのすべてなのです。というわけで、根っこ葉っぱも食べなければいけないのです。
ニンジンでは皮も大切で物は中心の部分に陽があって周りに陰がある形になっているからです。
外側の皮についた栄養素と中心部分にある栄養素では意味が違うのです。それと同じように、葉っぱの部分の栄養素と根っこの部分の栄養素も全く違います。
生命を維持するのに必要なすべての栄養素を取るためには、食品全体まるごとを食べなければいけないということです。
太極をめざす
どうしても部分に偏ってしまうのは避けられません。根っこだけ食べていれば陽に近くなり、葉っぱだけ食べていれば陰になります。
遠心力が強く働くのが陰性で、逆に根っこの部分は、伸びて地球の中心に向かっている求心力なので陽性です。
陰と陽の両方持って初めて中庸と呼ばれます。東洋医学ではこの太極と言って、太極になる食べ物は人間にとって理想で、最もいい食べ物と言われています。
全体食の代表は穀類
現在最もすぐれているのが穀類ということになっています。穀類そのものは全体食になっているからです。その次に良いのは果実です。
陽の求心力の集まったところに種がありますが、種は食べられません。
例えば、あんずの種の中にアメリカで大量に買い込んでがん防止に使っている事実があります。その種の中にビタミンB12が含まれているからです。
私たちは牛を一頭食べられないので部分として食べています。完全な部分食です。ある部分だけを食べることは実際に重要なミネラルなどを取り込むことができない欠点があります。
食べ物は、より小さいものほどすぐれています。小さなものでも食べられるから全体は実現できるからです。
陰性化・陽性化
植物性の食品は全体的にもともと陰性です。しかしその植物性の中でも陰性、陽性のものにわかれています。陽性の動物性食品も同様です。
これらの陰と陽の区別を私たちはよく知る必要があります。植物性の食品が陰性でも、調理する時間が長くなれば陰を陽に転化できます。陽性の食品が陰性の食品に変わることもあります。
熱を加えることは陽性にすることです。煮る時間が長くなると陽性になります。圧力をかけるのも陽性になります。
冷やすことは陰性にすることです。砂糖や水を加えることも陰性にすることです。塩分を加えて干して乾燥させることは陽性にすることです。
キャベツを生で食べる場合には陰性でも、ロールキャベツとして食べると陽性になります。
体が冷えている時には、じっくり煮込んだ温かいものが欲しくなります。逆に長時間煮たものを暑くて食べる気がしないのは、体を冷やして陰性にしたいからです。
水分の多い陰性の野菜に、陰性の酢を加えてさらに冷蔵庫で冷やして陰性化させるサラダは、夏向きの食品といってもいいでしょう。
陰陽のアンバランスを避けて、その時の体の状態にあったものを食べるのがベストです。
全体食で太極を意識
健康を考えた食生活では、すべてを食べる全体食を意識しましょう。一部分しか食べない食生活は必ず陰と陽のバランスに偏りが生じます。全体を食べられるおすすめのものとしては穀類。
野菜を食べる時も根っこの部分だけでなく、葉っぱの部分を調理に使うこと。野菜の皮も細かく刻んだり、煮込んだりして調理に使うことがおすすめです。全体を食べるという意識を持つと、今までの食生活がガラッと変わります。陰と陽のバランスのとれた太極を意識しましょう。