食べ物を消化吸収するために働く酵素。その働きを知らない人が多すぎます。酵素の働きを知ることで、断食が必要な理由も理解できます。
ここでは酵素の働きからみていきます。
酵素の仕組みと働き
酵素は消化酵素・代謝酵素の二つに分けられます。
消化酵素は、食べ物を分解する働きをするもので、消化・吸収のすべてのプロセスで関わります。
代謝酵素は、臓器や組織の細胞内で栄養素を作り変え、臓器の修復などに使われます。
◆酵素
消化酵素 | 食べ物を分解する |
代謝酵素 | 栄養素を作り変える |
体内には3000種類以上の代謝が行われていて、どれも酵素がなければ行えません。酵素は体内で縦横無尽に働いています。
消化酵素・代謝酵素は体内で作り出されます。それがいつでもどこでも無尽蔵に作り出されるわけではありません。
あらかじめ遺伝子に組み込まれ、生産量が決められているという説が有力。つまり、効率よく使わなければいけないということです。
消化でたくさん使われる酵素
酵素が最も使われる場面は消化のとき。消化の際に大量に使われます。消化の作業が大きくなればなるほど、多くの酵素が使われ、酵素を作り出すためのエネルギーも必要となります。
消化酵素を生み出すためにエネルギーを使いすぎた結果、代謝酵素に回すエネルギーがなくなります。
代謝酵素が十分に働けず、不具合が起こってしまいます。
代謝酵素のパワーを高めるには、消化酵素の仕事を軽減させること。そのために、断食で消化酵素に回すエネルギーを温存すればいいのです。
腸内環境を整えるメリット
腸を休ませると免疫力が高まります。免疫とは体内に入ってくる細菌・ウイルスなどの異物を除去して
体を守るシステムのこと。
体内に入ってきて、いらない物を外に出す力が免疫力の本質です。異物が体内に侵入してくると体は外に出そうとします。
この免疫システムを正常に働かせる必要があります。
免疫システムが働かないと、さまざま疾患に苦しむことになります。
免疫と深く関わっているのが胸腺と腸です。小腸には白血球がたくさんあり、免疫物質も作られているといわれています。
食べ過ぎで腸を使いすぎて腸内環境が悪くなると、免疫力はダウンします。体調のいい時は風邪もひきませんが、腸が悪くなると免疫力の低下で風邪をひいてしまうこともあります。
腸内環境をよくしてくれるのが腸内細菌。その種類は500~1000ほどあります。数は1000兆個にものぼり、天文学的な数ともいわれています。
腸内細菌には善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類があります。善玉菌は腸内環境をいい状態にしてくれます。腸内環境を悪くするのが悪玉菌です。
◆腸内細菌
善玉菌 | 腸内環境をよくする |
悪玉菌 | 腸内環境を悪くする |
日和見菌(ひよりみきん) | 普段は何もしないが腸内環境が悪くなると悪玉菌に加わる |
日和見菌はどちらの働きもありませんが、悪玉菌が強くなると、加担して腸内環境を悪くします。
悪玉菌を増やす原因として、食べすぎなど食事の乱れがあります。ストレスも原因となります。
ストレスから暴飲暴食に走るのも、腸内環境を悪くする最悪の状況です。
腸内環境をよくするためには、消化にかけるエネルギーを少なくし、腸にかける負担を小さくすることです。
脂っこいものを食べるなど暴飲暴食は言語道断です。
ストレス解消になるどころか、腸内環境を最悪の状況にしてしまう行為です。
腸の回復には、胃袋と腸に食べ物を入れないようにすること。そして、ある程度の時間、保たなければいけないということです。
たくさん食べて体調不良
断食の目的は胃袋と腸に負担をかけず、内臓に休息を与えることにあります。たくさん食べると腸内環境は悪くなります。酵素を使いすぎて、エネルギーが消耗します。
食べすぎはストレス解消にはなりません。むしろ、免疫力をダウンさせるだけ。
現代人に必要なのはストレス解消のための暴飲暴食ではなく、負担をかけない断食のほうだったのです。