断食は体内に変化を起こします。単なるダイエット効果だけではなく、脳にもいい影響を与えます。
断食の際に起こる注目すべき効果である糖新生のメカニズムを確認します。
糖新生のメカニズム
断食をした時に体を中で起こる効果。それが糖新生(とうしんせい)です。
断食を行い、体がエネルギーを取り込まなくなると、体内にため込んでいた栄養素を使い、エネルギーを作り出そうとします。
肝臓に貯蔵されているグリコーゲンを分解してブドウ糖を作り、そのグリコーゲンがなくなると、肝臓に貯蔵されていたアミノ酸からブドウ糖を作り出します。
体は肝臓にグリコーゲンとアミノ酸を貯蔵しているので、数日間食べなくても人は死なないのです。
アミノ酸がなくなると、筋肉を分解しアミノ酸を作り出し肝臓に送り込みます。肝臓はアミノ酸を原料にしてブドウ糖を作ります。
その次に使われるのは脂肪です。脂肪はグリセロールと脂肪酸からできています。
グリセロールは肝臓でブドウ糖に作り変えられ、エネルギーとして燃焼されることになります。
こうしてアミノ酸・グリセロールをブドウ糖に変える仕組みが糖新生なのです。
◆糖新生の過程
1 グリコーゲン ⇒ | ブドウ糖 | |
2 アミノ酸 ⇒ | ブドウ糖 | |
3 筋肉 ⇒ | ブドウ糖 | |
4 脂肪 ⇒ | グリセロール ⇒ | ブドウ糖 |
4 脂肪 ⇒ | 脂肪酸 ⇒ | ケトン体 |
脂肪酸は糖新生には使われません。
肝臓に送られた脂肪酸はケトン体になり、最終的にエネルギーとして使われます。
糖新生の結果、ケトン体ができるとどうなるのでしょうか?
脳波が変化する
糖新生が行われてケトン体が出てくると脳波が変化します。
脂肪酸が分解されてケトン体が出てくると、脳がα(アルファ)波の状態になります。
心身がリラックスし、判断力がアップします。α波の状態は、適度にリラックスができて集中力が高まっている状態。
β(ベータ)波・γ(ガンマ)波の状態は、緊張してイライラ感が高まった状態です。
糖新生が起こって、ケトン体が出てくるまで時間が少しかかります。
脂肪が燃焼してからα波の状態になるまでタイムラグがあります。肝臓と筋肉にあるブドウ糖やアミノ酸を使い切ってからやっと出てきます。
断食を始めてから、4日~7日くらい経過しなければこの状態になりません。断食は1週間くらい続けなければ、真の効果は現れません。
有害物質の排出
体内に蓄積されている有害物質。代表的なものとしてポリ塩化ビフェニール(PCB)やダイオキシン。放射性物質や有害な細菌類もあります。
ケトン体が出てくるまでの時間と、有害物質が体外に排出された時間はほぼ一致しています。
これらの有害物質が体内にたまっていると体は不調を訴えますが、断食で軽減した例があります。しかも、断食を行って7日目にその症状が大きく軽減するともいわれています。
体内にたまった有害物質を出すためにも2~3日ぐらいの断食は効果的です。半日くらいの断食でも、それなりの効果はあります。
予想以上の断食
断食を行って糖新生が起こるまでには少し時間がかかるため、計画的に必要なビタミン・ミネラル・酵素を補給しつつ断食を行う必要があります。
有害物質を排出できて脳波が安定します。断食に挑戦しているアスリート・有名人もいるくらいです。もちろん一般人でも可能。断食にはまだまだ計り知れない効果があるのです。