玄米に興味のない人にとって、玄米とは何なのか、分かっていない人もいるでしょう。
ここでは、玄米とは一体何なのかを解説します。
玄米とは
稲の果実であるもみから、もみ殻を取り除いた米のことをいいます。
わかりやすく言うと、表面を削っていない米のことをいいます。
白米は、玄米を精白した米のことで、削り取った状態の米のことをいいます。
胚芽のみを残したものを胚芽米といいます。
「玄」には暗い色・濃いとの意味があります。
精白されていないベージュ色の外見を表現したものです。
売り物にならなかった玄米
普通の炊飯器で玄米を炊くと、白米に比べてぼそぼそした食感で、硬く、消化がよくありません。
そのため、白米と米ぬかに分けて販売されてきました。
玄米はまずくて売り物にならなかったのです。
白米の栄養
デンプン以外の栄養素は胚芽・ぬかに多く含まれています。
白米は胚乳のみしかないので、栄養的には玄米に劣り、偏っています。
ビタミンB1は、白米には玄米の6分の1しか含まれていません。
白米のみの食事は、ビタミンB1欠乏症である脚気(かっけ)を引き起こすといわれています。
白米はデンプンの割合が多く、粘りのある食感が日本人に好まれています。
精米について
精米の意味は、
米の表面を削り精白すること
精白してできた米そのもの
2種類の意味で使われることがあります。
玄米の表面のぬかを削り取ります。
やわらかい胚芽も削り取られます。
スーパーで販売されている米は精白された後の米のことです。
栄養的に言うと、 玄米>胚芽米>白米 ということになります。
玄米の栄養
精白されていない玄米はビタミン・ミネラル・食物繊維を多く含み、健康食品として注目されています。
マクロビオティックでは、玄米は完全食と言われています。
玄米と塩だけで必要な栄養分をまかなえるのも不可能ではない、と主張されています。
現代の食物は栄養分が少なく、いまだに「可能性」というレベルにとどまってはいます。
でも、現在栄養学からは非難されることが多いです。
玄米のみの食事では栄養失調を起こしかねない
などと事あるごとに非難されます。
肉・乳製品・卵などをバランスよく食べなければいけない、
など非難の的にされることが多い食材です。
脚気(かっけ)
白米と玄米を語る上で、脚気との関係は切っても切り離せません。
脚気とは、ビタミン欠乏症による疾患のこと。
ビタミンB1の欠乏で、心不全・末梢神経障害をきたします。
足のむくみ、神経障害によって足のしびれが起きることから脚気と呼ばれています。
1970年代には、ジャンクフードなど偏食によるビタミン欠乏が報告されています。
時代遅れの病ではないようです。
玄米はビタミン・ミネラルを豊富に含む一方で、
白米にはデンプン以外の栄養分がほとんど含まれていません。
昔の日本では、農民の多くは、精製度の低い米に加えて雑穀入りも野菜をまぜた、かて飯・麦飯を食べていました。
そのため、農村部で脚気が蔓延することはあまりありませんでした。
一方で都市生活者は、ぬかを取り去った白米を好んで食べました。
玄米を炊くには時間・燃料がかかるためです。
白米は都市生活に都合よく、食感もよく、白米の習慣は受け入れられ普及しました。
その結果、江戸時代中期には江戸や大坂で脚気が流行。
「江戸患い」「大坂腫れ」とも呼ばれました。
都市部だけではなく、地方都市の富裕層や俸給生活にも白米の習慣が広まりました。
それにつれて脚気は全国的な病となったのです。
この脚気の流行は昭和初期まで続きました。
日本軍にも論争があった
日本軍の栄養学者は玄米食に反対していました。
玄米の消化の悪さ
炊飯にかかる燃料の多さ
調理時間の長さ
がその理由でした。
その後、線描研究所が玄米を研究し、確かに玄米にかかる時間と燃料は増加したとのデータを示します。
しかし、玄米食になってから、
少食になった
下痢が減った
仕事の耐久力が上がった
医療費が1/17に減少した
これらの結果から、玄米を認めざるを得なくなったのでした。
現代人も例外ではない
玄米・白米・栄養失調は、ご覧のように歴史的について回っています。
脚気の問題は現代人にとっても同様に当てはまります。
白米の欠点が解決されたわけではありません。
むしろ、昔より悪化しています。
お手軽に食べられる
やわらかくておいしい
この誘惑から京葉失調になり、原因不明の体調不良ということも察しがつきます。
現代では幸いにも、調理方法・調理時間・燃料問題はクリアしています。
健康に気を使う人に玄米は必須です。