玄米にはフィチン酸が多く含まれ、さまざまな効果が期待できるといわれています。
フィチン酸とは何なのか、その働きと性質を見ていきます。
フィチン酸とは
フィチン酸は、糖分であるミオイノシトールに、リン酸基が結合した化合物。
キレート作用が強く、金属イオンを強く結合するミオイノシトールと共通の作用があります。
ミオイノシトールは糖であるグルコースからできています。穀物のぬかや豆類・果物・ナッツ類に含まれます。
ビタミンB群に分類され、イノシトールが不足すると、神経症状が起こることがあります。
フィチン酸とイノシトールは似ていて、区別しないこともあります。
人体に大切なリンを貯蔵
植物はリンをフィチン酸の形で貯蔵しています。
フィチン酸は遺伝子に含まれたり、エネルギーの代謝に使われたり、骨を構成する物質にもなります。
人間だけでなく、あらゆる生物に対していい働きをする大切な栄養素です。
玄米と豆類・未精製の穀物に多い
フィチン酸が多く含まれるのは、穀物や豆類。特に精製されていないものに多く含まれます。
白米は精製された米なので、フィチン酸の量が少ないです。白米に含まれるフィチン酸は少ないため、炊飯によって消滅してしまいます。
キレート作用
フィチン酸には、キレート作用という重要な効果があります。
キレート作用とは、ある分子がカニのはさみのように金属イオンと強く結合し、安定な化合物(錯体)を作る作用のこと。
重要なミネラルは包み込んで吸収しやすい形にして、有害物質は包み込んで、排出しやすい形にします。玄米の毒素排出作用が強いのも、このキレート作用が強いためです。
このキレート作用は1925年くらいには、勘違いされていたようです。
キレート作用が消化吸収を妨げる、と誤解されてきたのです。逆に、生命に必要なミネラルを吸収しやすい形にしてくれることがわかったのです。
今でも誤解されている節があり、途上国の子供にはキレート作用によって、ミネラルの吸収が阻害されるのではないかと誤解する研究者もいまだにいます。
キレート作用が小さく、栄養素の少ない白米をわざわざ食べさせて、栄養の改善につながるはずがありません。
食物繊維が多く大腸がんを予防
1960年くらいから食物繊維は大腸がんを予防するものと考えられてきました。
食物繊維の中に含まれるフィチン酸が多いと、大腸ガンが抑制されることが報告されたそうです。
ガンに悩む人が増えた現代では注目です。
さまざまな疾患の予防に
フィチン酸の作用にはさまざまなものが報告されています。
- 尿路結石
- 腎臓結石
- 大腸ガン
- 乳ガン
- 皮膚ガン
などの予防に役に立つ可能性があると言われています。
抗酸化作用にも注目です。
フィチン酸だけで摂取するのではなく、イノシトールとの同時摂取が好ましいとされています。
サプリメントではなく、フィチン酸とイノシトールが双方含まれる玄米を直接食べたほうが好ましい、ということです。
フィチン酸の効果
- 強い抗酸化作用
- 細胞分裂を制御する働き
- 血栓症の予防
- 貧血の予防
- 高カルシウム尿症の予防
- 脂肪肝の予防
- 抗がん作用
その他にもまだまだ研究がなされています。
ミオイノシトールやフィチン酸は連携して高い効果を示すのではないか、と考えられています。
ということは、両方含まれる玄米から取ったほうが好ましいことが推測できます。その他にもビタミンの前駆体ではないか、と考えられています。
ビタミンをサプリメントやビタミン剤で摂取するよりも、効率よくビタミンが取れるのではないかと推測できます。健康にいい研究結果が出てきているフィチン酸の効果はまだまだ計り知れません。
参考
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1983/58/3/58_3_151/_article/-char/ja/
放射能の強い日本ならフィチン酸の多い玄米
これだけ体にいい働きをするフィチン酸。
でも、あまり注目されていません。役に立たないゴミのような研究ばかりが注目されるのが世の常。
白米ではフィチン酸が少なく十分に取れません。フィチン酸をたっぷり取れるのは玄米を食べる人だけの特権。病気はすぐに治る、というものではありません。でも、放射能の強い日本に住む日本人なら、ぜひ玄米を食事に取り入れるべきです。