だれもが当たり前のように口にするようになったビタミンという言葉。
医師でも生物の研究者でもない、ましてや理系でもないそこらへんの主婦やオッサンが、ビタミンなどという言葉を口にするのは不自然です。
ビタミンが有名になったのは訳があります。
ビタミンの起源
人々がなぜ、病気になり飢えてしまうのか。 カシミール博士という人が、一つの栄養素の存在を発見しました。その栄養素に都合のいい名前をつけようと思いできたのが『ビタミン』です。
生命を表す『ビタ(vita)』に窒素化合物の『アミン(amine)』を合成させた言葉。 後にビタミンはアミンに属さないことが判明しました。とにかく言葉のイメージがよく響きがいいのでビタミンと呼ばれることになったのです。
何でもかんでもビタミンという風潮はここから生まれたのです。
万能でなかった
科学的にビタミンが作られるようになると、一般人は何も考えず、ビタミンを摂取し、健康を害する結果になったのです。
背景には、食べ物の生成過程にあります。
米や小麦粉を生成したり、缶詰を作る方法さえ知らなかったら、ビタミンの知識など不要だったのです。そんなものを意識しなくても、健康に生きられたのですから。食品が、自然から遠ざかってしまったことが大きな原因です。
生命に欠かせない物質は、科学的に実験室で作ることはできません。 食品に含まれる大量のビタミンが、私たちの健康を守ってくれることはありません。
まず、私たちがやらなければいけないことは、食生活を自然に戻すこと。 口にする食品のクオリティーを高めることしかないのです。化学的に作ったビタミンなんか添加しても、健康を害する以外に何の意味もないのです。
確かにビタミンは重要です。 免疫力のアップ、体細胞を保護する働き、骨の形成に関わります。
体を酸化させるフリーラジカルからも身を守ってくれる、ありがたい存在ではありますけれど・・・。
フリーラジカルって何?
フリーラジカルは、不対電子をもっているために、他の分子から電子を奪い取る力が高まっている原子や分子のこと。
フリーラジカルにより病気になるという考えが広まり、何となく体に悪いイメージがあります。通常の場合、フリーラジカルは体に悪さをすることはなく、体内で代謝されて日常的に発生しているものです。
免疫システムが正常に作動していれば、体に悪影響を与えることはありません。 100%悪いということでもありません。
免疫システムとフリーラジカル
免疫システムが崩れることにより、フリーラジカルはその猛威を発揮します。
医薬品・精神的ストレス・タバコによって、フリーラジカルは体に悪影響を与えます。その結果、体内の様々な物質が酸化されて病気になるというわけです。動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中・リウマチ・アルツハイマー病・白内障の原因にもなると言われています。
その他多くの病気の原因となっています。 免疫システムを弱める働きが、フリーラジカルにはあります。
フリーラジカルとビタミンと電子
免疫力を高め、フリーラジカルを抑えてくれる物質がビタミンです。 体の酸化を抑えるために、最も効果的と言われているのがカロテノイド・ビタミンE・ビタミンCです。
電子の足りなくなったフリーラジカルに電子を与え、安定化させる働きがあるのです。フリーラジカルが体に悪影響を与えるのは、電子が足りなくなっているからなのです。
注目されている抗酸化物質
人間の病気のほとんどは、体内の酸化により引き起こされます。そして、体の酸化・さびを抑えてくれるのが抗酸化物質です。細胞のさびを防いでくれるのです。
緑黄色野菜に含まれるカロテンは、フリーラジカルと反応し体の外に出します。 野菜の中に、緑色の『クロロフィル』があります。 太陽光で酸化しないように、身を守るため発達したものだといわれています。
さまざまな研究でも、カロテンによる抗酸化作用は証明されています。
カロテンの弱点
カロテンにも大きな問題があります。 確かに、ニンジン・トマト・赤ピーマンにカロテンが豊富に含まれています。
でも、生の状態では吸収しにくい状態で、大腸壁を通り抜けられないのです。ニンジン・トマトは調理しなければカロテンの吸収が効率的に行われないのです。カロテンを効率的にとるには、脂肪と一緒に取るのが好ましいです。 生でかじっても吸収がよくないのです。
実は脂肪はビタミンの吸収に脂肪も役に立っているわけです。 脂肪は親の仇のように考えてしまいそうですが。
ビタミンE・ビタミンC
ビタミンEも同様で、熱による調理でも壊れにくいです。
一方で、長持ちしないので、冷蔵庫で保存をしていると栄養が失われてしまいます。 ビタミンC・ビタミンEはお互いに協力して、フリーラジカルに電子を与え、酸化を防いでくれます。動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中などを防いでくれるのに重要な役割を果たすことが研究で示されています。
ビタミンAは、皮膚の柔軟性を高めてくれます。外敵の攻撃から身を守ってくれます。 ビタミンAが少なくなると、免疫力がダウンします。欠乏状態が続くと免疫が働きにくくなります。
βカロテンは、ビタミンAに変換されます。実験によると、白血球に働きかけ、腫瘍の進行を防いでくれたり、 腫瘍壊死因子αの放出を促すことが研究で示されています。体内に入ったウイルスと戦うナチュラルキラー細胞が、βカロテンによって数が増えます。
まとめ
- 生命維持のため必要だから『ビタミン』になった
- 科学的製法のビタミンでは健康を害しかねない
- ビタミンはフリーラジカルを抑える
- 調理しなければ吸収が悪くなることも
- ビタミン同士で協力する
- 免疫力UPにも